吉田綾霊談集(35)

吉田綾霊談集

人間は他の動物とちがって、自分の行い、自分の言葉に対し、常に反省するものでありまして、よく自分の迷いを押さえて、迷いの埃を静かに、沈めようとします。

仏教では迷いの事を、却々なかなかいい言葉を使ってます。暴流とは激しい流れ、暴流怒濤の様な煩悩をじっと押さえる人、こういう人を心さときと申します。

こういう行き届いた考えの人は、昨日におぼれず、すっと立ち去り、向上して行く人です。

然し、普通の人はこのうるさい社会生活をして行きますのに、始終ひきしまった心持覚悟とは言いますが、心を整え、己を持する事は出来ません。

見ればつい腹が立つ事もあり、聞けば何だか癪にさわる場合もある。

毎日不用意にも反対的な生活をしている。そこで朝から晩までいちいち張りつめた覚悟を決めた生活が出来るものではありません。

そんな事ばかり考えていたら、それこそ、疲れてしまいます。

そこで朝お誓いし、夕反省する事です。さすれば、自然に心が和やかに軌道にのってまいります。
(上巻196~197頁、昭和45年、Copyright © 2004 公益財団法人日本心霊科学協会

タイトルとURLをコピーしました